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最高裁判所第二小法廷 昭和60年(ク)381号 決定 1985年12月20日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告理由は、民訴法五一二条ノ二第二項の強制執行停止決定に対し不服申立の方法を認めていない同条第一項、同法五〇〇条三項は憲法三二条に違反する、と主張する。しかし、審級制度をいかに定めるかについて憲法は八一条の規定以外になんら規定するところがないから、同条所定の場合以外の審級制度は立法をもつて適宜にこれを定めるべきものであり、このことは当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第四三号同二三年三月一〇日大法廷判決・刑集二巻三号一七五頁、昭和二二年(れ)第一八八号同二三年七月七日大法廷判決・刑集二巻八号八〇一頁、昭和二三年(れ)第二八一号同二五年二月一日大法廷判決・刑集四巻二号八八頁)。したがつて、右民訴法の規定が憲法三二条に違反しないことは、右判例の趣旨に照らし明らかであり、右論旨は採用することができない。その余の論旨は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎず、民訴法四一九条ノ二所定の場合にあたらないと認められる。

よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島谷六郎 裁判官 木下忠良 裁判官 大橋 進 裁判官 牧 圭次 裁判官 藤島 昭)

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